不動産売買は、人生で数回あるかないかの大きな取引です。住まいの購入から投資用物件の売却に至るまで、高額なお金が動くため、トラブルが発生すると精神的にも金銭的にも大きなダメージを受けかねません。
特に初めて不動産売買に臨む方は、契約手続きや税金の仕組みなど、分からない点が多く、「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうケースが珍しくありません。
そこで本記事では、不動産売買における主要な注意ポイントを契約時の落とし穴や税金面の誤算防止、法的チェックなど、シーン別に整理しました。さらに、和歌山市のように海や川が近い地域固有のリスクや境界問題についても解説します。
契約や手付金、重要事項説明、税金などの基礎知識をおさえておけば、あなたが購入または売却で失敗するリスクを大きく下げられるはずです。
不動産取引の成功は、事前の情報収集と慎重な判断がカギと言われます。本記事を参考に、安全でスムーズな売買を目指していきましょう。
目次
売買契約時の落とし穴

不動産売買では、契約書にサインして初めて法的拘束力が生じます。そのため、この契約段階での判断ミスや情報不足は、後々の違約金やトラブルに発展しやすいのが現実です。
特に初めて不動産取引を経験する方や、短期間で売買契約をまとめようとしてしまう方ほど、思わぬ盲点を見落としてしまうことがあります。
違約金や手付金の扱い、重要事項説明の内容把握など、慎重にチェックするポイントは多岐にわたります。
ここでは、売買契約における代表的な落とし穴として、まずは手付金を中心とした解除トラブル、そして重要事項説明での見落としによる問題を詳しく解説します。
こうしたポイントを事前に知っていれば、契約を結ぶ際に「ここまで聞いてなかった」「後から違約金を請求された」など、想定外のリスクを大きく軽減することができるでしょう。
特にローン特約や境界問題、地役権など、初心者には馴染みの薄い概念もしっかり理解しておくのが安心です。
手付金の放棄・違約金トラブル

契約解除の条件をしっかり確認
不動産売買契約では、売買価格の5%~10%程度を「手付金」として買主が支払い、物件を確保するのが一般的です。
しかし、ここで気をつけたいのが手付金に含まれる「解約手付」という性質です。解約手付とは、買主側の都合で契約を解除する場合に手付金が返ってこない(放棄)というルールであり、逆に売主側の都合で解除する場合は、買主が支払った手付金を倍返ししなくてはならない決まりになっています。
これは民法で定められた制度ですが、具体的な運用については契約書の条項で細かく取り決められます。
•手付金に関する注意点

1.解約期限
•契約書で「○月○日までに手付解除が行える」など期限を設けている場合があります。この期限を過ぎると、手付金を放棄しての解除も、倍返しでの解除もできなくなるケースが多いです。
2.ローン特約との関係
•ローン審査が通らなかったときに契約を解除できるのか、手付金はどう処理されるのかを確認しましょう。ローン特約を設けていないと、融資が通らなかった場合でも違約金を請求されるリスクがあります。
3.仲介手数料との混同
•手付金はあくまで物件価格に対する前払い金であり、仲介会社への手数料とは別物です。手付金は売主に支払われる一方、仲介手数料は不動産会社に支払われます。
さらに、契約後に一方的な理由で合意なく解除しようとすると、売主買主のいずれかに違約金が発生する可能性があります。
たとえば、契約書に「違約金は売買金額の○%」と定められている場合、買主・売主いずれかの都合で契約を履行できなくなると、その割合の金額を支払わなくてはなりません。
ローン特約(融資が下りなかった場合には買主が違約金なしで解除できる条項)も含め、全ての条件を念入りにチェックしておけば、大きな金銭トラブルを回避できるでしょう。
重要事項説明の見落とし

境界や地役権など権利関係の注意点
不動産取引においては、契約を締結する前に、宅地建物取引士から重要事項説明を受けることが法律で義務付けられています。
この説明では、物件の法令上の制限や設備状況、権利関係などが詳しく明示され、買主が契約に進むうえで重要な判断材料となります。
しかし、ここで説明を受けても、用語の難しさや専門知識の不足から、「ざっくりと聞き流してしまった」という買主も多いのが実情です。
•重要事項説明でチェックすべき項目
1.土地の境界

•境界の確定が済んでいるか、隣地との境界標はきちんと設置されているか、測量図はあるか、などを確認。境界問題が曖昧だと将来の増改築や隣地とのトラブルに発展する恐れがあります。
2.地役権
•隣地所有者が通行するための権利(通行地役権)や、上下水道管が土地を横断している権利など。これらが存在すると、勝手にフェンスを立てられないなどの利用制限があるかもしれません。
3.法令上の制限
•建ぺい率・容積率、都市計画法に基づく用途地域、景観条例や風致地区などに該当すると、増改築や外装変更に制限が及ぶ。
4.設備状況
•給排水やガス管、電気配線のルート、築年数や老朽化度合い、シロアリ被害の有無などを事前に把握しておく。
5.ハザードマップ情報

•水害リスクや土砂災害警戒区域、津波警戒区域など、自然災害リスクを確認しておくと安心。
大手不動産会社ほど充実した書類を提示してくれるイメージがありますが、実際には担当者のスキルに左右される部分も大きいです。
和歌山市のように海や川が近い地域では、ハザードマップで確認した情報を重視するのはもちろん、境界や農地転用など地域固有の事情が絡む場合もあるでしょう。
いずれにせよ、重要事項説明の時点ですべての疑問を解消し、理解不足のまま契約書にサインしないようにすることが賢明です。
具体的な落とし穴事例
1.隣地との境界紛争

•重要事項説明で「境界未確定」とは聞いたものの、あまり気にせず契約。しかし後から塀やフェンスを立てようとしたら、隣地所有者から「それはうちの敷地に食い込んでいる」とクレームが入り、測量費用や場合によっては裁判費用まで負担する羽目に。
2.地役権による増築制限
•「将来2階部分を増築したい」と思っていたが、契約後に地役権が設定されていたことに気付き増築が許可されない状況に。売主や仲介業者が事前に説明したというが、買主は理解していなかったため、トラブルに。
3.敷地内の重要設備(浄化槽など)の故障
•重要事項説明で設備の老朽化が軽く触れられていただけで、具体的な修繕コストを見積もっていなかった。引き渡し後に浄化槽の交換が必要になり、高額な出費を強いられた。
これらの事例は、いずれも重要事項説明時に提示された情報をしっかりと理解せずに契約を進めてしまったことに起因しています。
「重要事項説明書は難しいから後で読む」という姿勢だと、後から取り返しがつかなくなるリスクが高いです。
実際に契約を結ぶ前に不明点を洗い出し、必要に応じて専門家(弁護士や土地家屋調査士など)を交えて判断すれば、リスクは大きく減らせるでしょう。
追加で考慮すべき契約上のポイント

•ローン特約
•買主がローン審査に落ちた場合、違約金なしで契約を解除できる特約。これがないと、融資が下りなかったのに違約金を払わねばならないかもしれない
•瑕疵担保責任(契約不適合責任)
•中古物件で特に重要。雨漏りやシロアリ被害などの隠れた欠陥が見つかった場合、どこまで売主が責任を負うのか
•公簿売買か実測売買か
•土地の面積について、公簿上の面積での取引なのか、実際に測量した面積で取引するのか。もし面積に誤差があっても公簿売買だと追及しづらい面がある
•引き渡し猶予
•売主が住み替え中などの理由で、引き渡し猶予(○日間は引越しまで猶予を下さい)を契約書に盛り込む場合がある。引き渡しのタイミングが曖昧だとトラブルになりやすい
総括:契約前の慎重な対応がトラブルを防ぐ

不動産売買における契約段階の落とし穴は、手付金や違約金、そして重要事項説明の見落としなど、どれも高額な金銭や法的リスクが絡む重大なポイントです。
特に、解約手付の扱いを誤解していると、想定外のタイミングで手付金を放棄する事態に陥ったり、売主側が契約を解除してくるケースにも遭遇します。
さらに、重要事項説明では境界や地役権、法令制限など、後々物件の利用に大きな影響を与える情報が含まれるため、わずかな誤解が物件の価値を大きく損ねる恐れもあるのです。
こうしたリスクを回避するためには、事前の入念な準備と十分な疑問解消が欠かせません。不動産会社の担当者に遠慮せず質問したり、ローン特約や契約書の各条項をじっくりと読みこむ姿勢が重要。
さらに、和歌山市のように土地によっては境界問題や水害リスクが複雑な地域では、行政機関への問い合わせや専門家(土地家屋調査士、弁護士など)の助言を得ることも有効な手段です。
何より、目先のメリットだけに飛びつかず、契約前にあらゆるシナリオを想定しておくことが、失敗しない不動産売買への近道と言えるでしょう。
税金や費用の誤算を防ぐ

不動産を売買する際、多くの方が物件本体の価格(売買価格)ばかりに目が向きがちです。しかし、実際には税金や各種費用が想定以上にかかることが多く、そこを見落とすと後々の予算オーバーや手元資金の不足に直面するリスクが高まります。
せっかくマイホームを手に入れたのに、思わぬ費用負担で生活が圧迫される事態は避けたいところです。
この章では、譲渡所得税や住宅ローン控除といった所得税関係の話から、不動産取得税や登録免許税など取得時に発生する地方税・国税を中心に取り上げ、どんな費用がいつ・どのくらいかかるかを整理していきます。
とりわけ、譲渡所得税は不動産を売却する場合に関わってきますし、住宅ローン控除はマイホームを購入する際に非常に大きなメリットをもたらす制度です。
また、新築か中古か、あるいは物件の利用目的(居住用か投資用か)などによって、適用される特例や減税措置が異なります。
和歌山市などで物件を購入・売却する際も、全国共通の税法が適用されるため、ここで解説する内容は大いに役立つはずです。
とはいえ、一人ひとりの条件(所有期間、居住実態、築年数など)によって税金計算は変わってくるため、税務署や不動産会社、税理士など専門家への相談を必ず行うようにしましょう。
譲渡所得税・住宅ローン控除など

居住用財産の3000万円特別控除の要件
まずは譲渡所得税から見ていきます。譲渡所得税とは、不動産(土地・建物)を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課せられる税金です。
譲渡所得は、売却価格から取得費用(購入時の費用)と譲渡費用(売却時の仲介手数料や印紙代など)を差し引いた金額として計算されます。
そして、その所有期間が5年以下か5年超かで短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられ、それぞれ異なる税率が適用される仕組みです。
•短期譲渡(所有期間5年以下)
•税率が高めに設定されており、39.63%(所得税+住民税+復興特別所得税)前後になることが多い
•投資目的などで短期間に売買すると、利益の多くを税金で持っていかれるリスクが高い
•長期譲渡(所有期間5年超)
•税率は約20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)前後と、短期譲渡よりも優遇される
•5年以上保有していれば比較的有利な税率になるため、投資目的でも長期保有する戦略が生まれる

引用元:不動産のいろはHP
ここで居住用財産(マイホーム)を売却する場合、3000万円特別控除という大きな減税制度が使える可能性があります。
この特例は、「自分や家族が日常生活の拠点として使っていた住居」を一定条件のもとで売却したとき、譲渡所得から3000万円までを非課税にできるもの。
たとえば、購入時より1500万円の値上がり益が出たとしても、3000万円特別控除の範囲内であれば譲渡所得税がかからないわけです。
•3000万円特別控除の主な適用要件
1.現に自分が住んでいるか、住まなくなってから一定期間(1~3年など)内に売却すること
2.セカンドハウスや別荘など、純粋に居住実態のない物件は不可
3.同居人や夫婦共有名義の場合、それぞれ控除を受けられるケースもあるが要要件確認
4.過去にこの特例を使っていないこと(同年や連続的に使えない制度)
一方で、「実際は住んでいなかった」など居住実態が問われる場合もあるため、売却前に税理士や不動産会社に相談して適用可否を確かめると安心です。
住宅ローン控除

一方、マイホーム購入では住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が大きな支えになります。
この制度では、年末時点の住宅ローン残高に一定の控除率(例:1%)を掛けた金額を所得税から控除でき、控除しきれない分は住民税からも一部控除されるという優遇策です。
一般的には10~13年間継続して適用される場合が多く、金利低下局面や新築需要と相まって、初めての住宅購入を後押ししてきました。
•住宅ローン控除の主なポイント
1.住宅の床面積が50㎡以上など、一定の要件を満たす必要がある
2.中古物件でも、築年数や耐震基準を満たせば適用可能(マンションなら昭和56年6月1日以降に建築確認を受けているなど)
3.合計所得金額の上限など、年収制限が適用される場合がある
4.借入期間が10年以上必要(短期ローンだと控除が受けられない)
このように、住宅ローン控除は長期にわたって返済を続ける買主にとって大きな節税メリットをもたらします。
和歌山市で土地・建物を購入する際も、銀行のローンを検討する場合にはこうした減税制度を踏まえ、毎年どれだけ税負担が軽くなるかを試算して総支出を見極めることが有効です。
不動産取得税と登録免許税

続いて、物件を「取得(購入)」する際に発生する税金として押さえておきたいのが、不動産取得税と登録免許税です。
どちらも初期コストとして無視できない額になりやすく、資金計画に大きく影響するため、事前にしっかり理解しておくことが大切です。
不動産取得税
1.都道府県が課税する地方税
2.課税標準は固定資産税評価額(実勢価格ではなく、自治体が評価した金額)
3.新築住宅や特定要件を満たす中古住宅では軽減措置があり、税額が大幅に減額される場合がある
和歌山市を管轄するのは和歌山県ですので、不動産取得税の窓口は県税事務所となります。新築住宅で床面積が50㎡以上ある場合や、耐震リフォームを施した中古住宅などは減税特例が使えることがあるため、購入前に県のホームページや不動産会社を通じて確認すると良いでしょう。
登録免許税
1.登記を行うときに国に納める税金
2.土地や建物の名義変更、抵当権設定など、登記行為ごとに課税される
3.住宅用の建物登記は、一定条件下で軽減税率を受けられるケースが多い
登録免許税の税率は土地と建物、抵当権のそれぞれで違いますが、一般に「売買による土地の所有権移転」や「建物新築の保存登記」といった行為ごとに、固定資産税評価額やローン額を基準に計算されます。

引用元:誰でもわかる不動産売買HP
新築の場合は表題登記→保存登記→移転登記とステップが複雑になりがちで、その都度登録免許税が発生します。
•優遇制度の例
•新築住宅の保存登記:通常税率が0.4%だが、条件を満たせば0.15%に軽減
•土地の移転登記:住宅用地としての軽減措置が適用されると税率0.3%が0.1%に下がるなど
これらの制度は期限や要件が頻繁に改正されることがあるため、最新情報を法務局や税務署、不動産会社から仕入れておきましょう。
また、オーナー自身で登記を行う「本人申請」も可能ではありますが、登記手続きを一括で代理する司法書士に依頼するのが一般的。司法書士に支払う報酬も考慮し、トータルの諸費用を試算する必要があります。
新築・中古で異なる優遇制度

新築の場合、国や地方自治体が用意する特定の要件(例えば長期優良住宅や省エネ住宅など)を満たすと、不動産取得税や登録免許税でさらに大きな減税が得られます。
中古物件の場合も、築年数や耐震基準適合証明書の有無などを条件に軽減を受けられることがあるため、古いからといって必ずしも不利というわけではありません。
1.新築住宅の床面積:50㎡以上240㎡以下なら取得税や登記税の大幅軽減が行われる(期限や細かい要件は都道府県や国の施策による)
2.中古住宅でも、耐震補強やリフォームで適合した場合に減税対象になることがある
3.認定長期優良住宅なら、固定資産税や登録免許税がさらに優遇されるケースも
こうした軽減制度を知らずに購入すると、本来受けられる減税を受け損ねる可能性があるため、税務署や都道府県税事務所、不動産会社へ事前に相談するのがベターです。
和歌山市で物件を買う際は、和歌山県のウェブサイトや、地元の不動産会社・司法書士を通じて最新情報を確認しておくと良いでしょう。
特に補助金や優遇措置は年度ごとや政権の政策によっても変動するため、常に最新情報をキャッチして資金計画に反映させるのが賢明です。
税金と費用の総合的なシミュレーションが鍵

譲渡所得税、住宅ローン控除、不動産取得税、登録免許税など、税金面でのインパクトは不動産売買において非常に大きいです。
これに加えて、仲介手数料、ローン事務手数料、火災保険、リフォーム費用などの費用も発生し、総支出は想像以上に膨らむことがあります。
最終的にローン返済をどのくらいの期間で行うのか、月々の支払いをどう設定するかなど、実際のキャッシュフローをイメージしておかないと、購入後に家計が圧迫されるリスクを高めてしまうかもしれません。
•シミュレーションのポイント
1.物件価格:諸費用込みの総額を算出
2.税金・費用:不動産取得税、登録免許税、仲介手数料、印紙税、火災保険、ローン保証料など
3.住宅ローン:借入額、金利タイプ、返済期間、月々の返済額、年収負担率
4.確定申告:住宅ローン控除を受けるには初年度に確定申告が必要など
また、売却時(将来的に物件を手放す際)も、譲渡所得税や住民税が関わってくるので、マイホームを買うときだけでなく将来の資産プランも含めて考えると良いでしょう。
大きな出費がどこで発生するかをスケジュール表にまとめ、引越し費用やリフォーム費用のタイミングなどを把握しておけば、資金不足で慌てるリスクを減らせます。
総括:計画的な資金計画と減税制度の活用を心がけよう

不動産を購入・売却する際、物件価格だけでなく、税金(譲渡所得税、不動産取得税、登録免許税など)や諸費用の存在を忘れてはなりません。
これらを軽視していると、手元資金が足りなくなったり、税金の申告を誤って後から追徴課税を受けたりといったリスクが高まります。
さらに、住宅ローン控除や3000万円特別控除などの減税措置をうまく活用すれば、数十万~数百万レベルでの差がつく場合も珍しくありません。
新築・中古、それぞれで優遇制度が異なるのも要注意です。新築の場合は認定長期優良住宅のメリット、中古の場合でも耐震リフォームの有無による減税など、対象となる制度は多種多様。
和歌山市のように地価が比較的安定している地域でも、優遇制度を最大限利用することで賢く資金計画を組み立てられます。ぜひ購入前・売却前に税務署や不動産会社、都道府県税事務所、必要に応じて税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談し、あらゆる可能性を確認してから行動してください。
大切なのは、余裕ある資金計画を立てることと、適切な書類手続きを怠らないこと。そうすれば、あなたの不動産取引はきっとスムーズに進むはずです。
トラブルを回避するための法的チェック

不動産売買における契約書や法律的な保護に関する知識を身につけておくと、リスクを最小限に抑えられます。
特に、契約書の文言確認や瑕疵担保責任(契約不適合責任)、クーリングオフなど、知らないと損をする場面が存在します。ここでは、こうした法的側面で見落としがちなポイントを解説します。
契約書の文言確認

瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲
2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」という名称に変わりましたが、買主が物件に隠れた欠陥を見つけた場合、売主がそれを保証するという基本的な考え方は続いています。特に中古物件を購入する際には、雨漏りやシロアリ被害、配管の老朽化など、目に見えない部分の欠陥が後から発覚することもあります。
•契約不適合責任でチェックすべきこと
1.責任期間:契約書で責任を負う期間を短く設定している売主がいるため要注意
2.範囲:どのような不具合が「不適合」に該当するか、契約書の条項で細かく定められる場合がある
3.引き渡し後に不具合を発見したら、早めに売主へ通知しないと補償を受けられないリスク
もし売主が宅建業者(不動産会社)であれば、業者による2年間の契約不適合責任保証が法律で義務付けられているケースが多いです。一方、売主が個人の場合は「現状渡し」のように大幅に責任を制限していることもあるため、事前の確認が必要です。
クーリングオフ制度が使える場合

宅地建物取引業法の例外規定
クーリングオフとは、訪問販売など一定の取引形態で購入を決めた場合、契約後でも一定期間以内であれば無条件で契約を解除できる制度です。
これは不動産取引にも一部適用される場面があり、たとえば営業所や事務所以外の場所で宅建業者から勧誘を受け、そのまま契約を締結してしまったような場合です。
•クーリングオフの適用条件
1.売主が宅建業者であること(個人売主には原則不適用)
2.契約締結場所が業者の事務所やモデルルーム以外であること
3.買主が自ら申し出て事務所へ行った場合には適用外
4.書面交付でクーリングオフ可能期間を明示している必要がある
クーリングオフ期間は、書面を受け取った日から8日以内が一般的です。ただし、詳細な条件や例外規定があるため、実際に契約解除が可能かどうかは契約書や法規を確認しながら、不動産会社や弁護士に相談するのが確実です。
和歌山市特有の事情と対策

不動産取引では、全国どこでも通用する一般的なポイントに加えて、地域特有のリスクや慣習を考慮しなければなりません。
和歌山市ならではのポイントとしては、海や川に近いエリアが多いことや、古い宅地の境界が曖昧になっているケースなどが挙げられます。ここでは、和歌山市特有のリスクや対策について少し掘り下げてみましょう。
海や川沿い物件の地盤リスク

引用元:和歌山市HP
ハザードマップの活用方法
和歌山市は海岸線が長く、紀の川をはじめとする川も流れているため、水害リスクや地盤沈下リスクなどの自然災害に注意する必要があります。
新築・中古にかかわらず、川沿いや海沿いの物件を検討する場合は、事前にハザードマップを入手し、浸水可能性や津波想定区域などを確認しましょう。
•ハザードマップの確認手順
1.和歌山市の公式サイトや県の防災情報サイトで入手可能
2.物件の正確な住所を入力し、どのような災害リスクがあるか色分けでチェック
3.避難経路や標高を把握し、万が一の場合のシミュレーションを行う
こうした災害リスクが高いエリアでは、火災保険に加え、水災補償や地震保険を追加しておくと安心です。
地盤の弱い地域では、建物を建てる際に地盤改良が必要となることもあるため、土地の売買においても地盤調査費用などを見込んでおくべきです。
土地の狭小化や古い区画の境界問題

引用元:政府広報オンラインHP
測量士への依頼のタイミング
和歌山市には、昭和以前から宅地が形成された地域が多く、境界標が不明瞭になっていたり、隣地との境界線が曖昧なまま放置されている土地も少なくありません。
こうした土地を売買する場合、隣地との境界トラブルが後から発生することがあり、引き渡し後に大きな費用負担を強いられるリスクがあります。
•境界確定の手順
1.測量士に依頼して現地測量を行い、公図や法務局の登記簿と照らし合わせる
2.隣地所有者と立ち会いのもと、境界標を設置し、書面で境界を確認する
3.境界確定後に土地家屋調査士が図面を作成し、法務局への登記を行う場合も
•古い区画の注意点
1.戦前や昭和初期から使われている道や塀が実際には公的に認められていない場合がある
2.隣地がすでに転売されていて所有者不明、連絡が取れないケース
3.地役権や農地転用など、別の法的手続きが絡む可能性
このように、和歌山市固有の事情として、宅地化された時期が古いエリアを扱う際には境界問題や地目の変更が大きな課題になりえます。
購入前の段階で測量士や土地家屋調査士に相談し、「境界確定済」や「測量図あり」の物件を選ぶとトラブルを大幅に回避できます。
まとめ

不動産売買には、契約手続きや税金・費用、法的リスクなど、多くの注意点が存在します。手付金や違約金の扱い、重要事項説明での情報把握、そして和歌山市特有の地盤リスクや境界問題など、どれも見逃すと後から大きなトラブルや追加費用を招きかねません。
また、譲渡所得税や不動産取得税、登録免許税などの税金面での見落としも、資金計画に大きな誤算をもたらす可能性があります。
さらに契約書の文言確認や瑕疵担保責任(契約不適合責任)、クーリングオフ制度の適用範囲を理解しておくことも重要です。
和歌山市では海や川に近いエリアが多く、ハザードマップの確認や地盤調査、境界確定など地域特有の対策も忘れずに行いましょう。
こうしたポイントを押さえておけば、売却側も購入側も安心して不動産取引を進められるはずです。ぜひこの記事を参考に、スムーズな不動産売買とリスク回避を目指してください。

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和歌山市を拠点に、不動産に関わるあらゆる悩みをサポートしているのが、株式会社和み(ハウスドゥ城北通り)です。地方創生をテーマに掲げ、空き家から相続、住み替えまで、多角的なアプローチで資産価値最大化を目指すのが大きな特徴の不動産会社です。
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